IBM i

IBM iは、IBM Power Systemsサーバー上で稼働するオペレーティングシステムです。1988年にIBMのミッドレンジコンピュータ向けOSとして開発され、当初はOS/400という名称でした。その後、IBM System i搭載時はi5/OSと名称を変え、2008年にIBM Power Systemsサーバーの名称変更に合わせてIBM iとなりました。

概要

IBM iは、System/36やSystem/38|System_38といった過去のIBM汎用ビジネスシステムとの互換性を維持するためのサブシステムを内包しています。これは、過去の資産を有効活用できるという大きなメリットをもたらしています。

かつてOS/400は「ターンキー」オペレーティングシステムとして設計され、システムの稼働中はほとんどオペレーターを必要としない点が特徴でした。例えば、DB2データベースがOSに内蔵されており、別途インストールやメンテナンスが不要です。

システム管理においては、GUIベースのウィザード方式が早い段階から採用されています。これにより、初心者でも比較的容易にシステム管理を行うことができます。また、Java実行環境を最適化しており、ハードウェアレベルでもJavaのパフォーマンスが最大化されるように設計されています。

IBM i自体はグラフィカルなオペレーティングシステムではありませんが、クライアントアクセスツールとしてiSeries Navigatorが存在し、Webベースのグラフィカル管理システムも利用可能です。これにより、GUI環境での操作も実現しています。

IBM iは、Power Systems上でAIXやLinuxと共存できます。そのため、既存のシステム環境を大きく変更せずに、IBM iの導入が可能です。

IBM iのプログラム開発環境は、従来ライブラリへのリンクという概念がなく、コンパイル時にすべてを結合していました。しかし、1995年にILE（Integrated Language Environment）が導入され、モジュールという概念が導入されました。これにより、異なるプログラミング言語で作成されたモジュールを組み合わせて利用できるようになり、開発の柔軟性が大きく向上しました。

近年では、RESTful APIへの対応、情報漏洩防止のためのセキュリティ強化、そしてNode.js、Python、R言語、Mono、Gitなどのオープンソースソフトウェアを容易にインストールできる機能が追加されています。さらに、他のOSや開発基盤との操作性を統一するため、データはEBCDICだけでなくUTF-8に対応し、データベース操作は標準SQLをサポート、画面表示は5250エミュレーターだけでなくWebブラウザにも対応しています。開発環境もEclipseやVisual Studioを利用できるなど、高い親和性を持っています。

歴史

IBM iは、長年にわたり進化を続けています。以下に主なリリースと名称変更の歴史をまとめます。

2001年3月: OS/400 5.1 リリース
2002年8月: OS/400 5.2 リリース
2004年6月: i5/OS 5.3 リリース（名称をi5/OSに変更）
2006年2月: i5/OS 5.4 リリース
2008年3月: IBM i 6.1 リリース（名称をIBM iに変更、バージョン番号をAIX等と統一）
2010年4月: IBM i 7.1 リリース
2014年5月: IBM i 7.2 リリース
2016年4月: IBM i 7.3 リリース
2019年4月: IBM i 7.4 リリース
2022年5月: IBM i 7.5 リリース

バージョン

IBM iは、上記の通り、長年にわたりバージョンアップを重ねており、現在も最新バージョンがリリースされています。

関連項目

IBM
Power Systems
RPG (プログラム言語)
IBM AIX UNIXオペレーティングシステム

外部リンク

IBM i - [[IBM]](https://www.ibm.com/jp-ja/products/os-for-ibm-i)
IBM Power - [[IBM]](https://www.ibm.com/jp-ja/products/power-servers)
* IBM i 総合情報サイト「iWorld」

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